【6】駒沢周辺でロケハン
6時過ぎ、駒沢にある宿で目が覚めた。
住宅街の中にある宿は静かで、夜は真っ暗だった。
朝は、小鳥の囀りが聞こえた。
シャワーを浴びてから、南向きの机に座って一日の予定を紙に書いた。
歩いて30分のところにある八雲図書館に行って、読書しようと、8時半頃に家を出た。
駒沢公園を通り抜け、図書館に着いたけど、閉館。狐につままれた気持ちになり、公園のベンチに座る。
警備員がいたので聞いてみたら、図書館はたまたま年一の点検で閉館しているのだそう。
こうなったら、陽当たりの良いゆっくりと座れるカフェに行こうと、Googleマップを頼りに良さそうなカフェへ向かった。
目指していたカフェは、飲食できるスペースがなかったので、別のカフェを目指した。
新しくできたばかりのカフェで、陽当たりがよく、座れるという口コミを見て、決めた。
駒沢公園の南に位置するカフェに着くと、客は私だけ。
コーヒーもいいけど、チャイがあると、頼まずにはいられない。
南東の窓際に小さいテーブルが3つくらいと、中央に長テーブルがあり、随所に生花が飾られていて、気持ちがいい。こんなカフェを探してた。しかも客は私以外にまだ誰もいない。ラッキー。
シナモン香るマサラチャイをすすりながら、改めて今日やることを整理した。
まず、精神科クリニックの予約をキャンセルする。
間違えて注文してしまった、麻の靴下の交換手続きをする。
泊まってる宿の宿泊を延長する。
他にもやった方が気が楽なことは沢山あるけど、一個づつ片付けていこう。
カフェで読書ができたのも有難かった。読んだのはSUUMOタウン編集部監修の『わたしの好きな街』。そのなかの一章「ノー銀座、ノーライフ」に共感した。実は私も、東京の中で好きな街をあげるとしたら銀座はトップ3に入る。書き手の小野寺史宜さんほどではないかも知れないけど、銀座のカフェが心の拠りどころのような感覚、わかる気がする。
私も東京で、好きな街が見つかるだろうか。
好きな街にあると嬉しいのが、毎日通いたくなる良心的で美味しい個人店の和定食屋とスパイスカレー屋さんが最低でも一軒づつはあり、ゆっくり読書ができるカフェか喫茶店、陽当たりの良い大きめな図書館、散歩がしたくなる川沿いか公園、活気のある商店街、品質と値段のバランスが良いスーパー(オオゼキ、OK、ライフなど)が数件あるところ……。
お腹が空いてきたので、駒澤大学駅近くにある食べログ百名店のタイカレー屋さんを再訪する。
レッドカレーは、案の定、今まで食べたレッドカレーの中で一番美味しかった。ごちそうさまでした。
それでも私はやっぱりグリーンカレーの方が好みだということが再確認した。それは多分、レッドカレーは酸味か強めで、グリーンはコクと甘みが特徴的で、私は後者の方が好みだから。
今度は、タイ北部の料理を店主が再現したカレーも食べてみたくなった。
ここでひとつプチストレスを発散したい。配膳担当の女性の動きが不快なこと。
昨日、初めて入店した時も思ったんだけど。例えば、客が食事をしている真っ最中にスプーンを目の前で音を立てて補充する。スプーンが全くないならまだ理解できるが、既に籠の中に沢山入っているのに、今、食事中のタイミングで補充しなくてはならない理由が理解できない。
伝票も食事中にテーブルの上に「会計はお席で」といちいち言いながら置くし、こちらが財布を出そうとしている最中に目の前から皿を下げようとする。支払いの時も隣でジッと待ってる。自己アピールなのかわからないが、とにかく間が悪い。「私、ここにいるのよ!」という自己顕示欲なのだろうか。
昨日から感じていたちょっとした違和感は、今日の再訪で確信に変わった。
あと、店主が食器を洗ったり片付けたりする音が大きくて、耳障りだったのも、食事中ずっと気になっていた。
こうやってプチストレスを発散していると、私ってなんでこんなに文句ばかりなのだろう、と自分でもうんざりしてしまうことがある。
これはHSPという気質によるものだから、仕方ないと思えることが少しづつできるようになっても、いまだに、色んなことに敏感な自分との付き合い方に挑戦している。
気を取り直していこう。
今日はとても天気が良く、散歩日和だ。
更に世田谷図書館まで歩いた。