【6】ケーキ箱 ひとり専用 千疋屋
京橋千疋屋には、ひとり専用のケーキ箱と袋が用意されていることに感動した。見ての通り手の平サイズ。
18時頃、空腹を感じ、デパ地下を歩き回っていると、ショートケーキが目に入った。
苺が旬の間は毎月、食べると決めているショートケーキ。
先日、スイーツ好きのハウスメイトNSさんから思いもよらず1ピース、プレゼントされて感動したばかり。けど、今月分を自分ではまだ買ってなかったことを思い出した。
なんの躊躇もなく、京橋千疋屋のカウンターで「苺のショートケーキをひとつだけください」と笑顔で注文。
去年の誕生日以来、ショートケーキを一切れだけ買うのもこれで3回目。
罪悪感なく、自分だけのためにケーキを一切れだけ持ち帰ることが板についてきた。自身の成長ぶりに喜びを覚えていた次の瞬間、思わず驚きの言葉を発した。
「ひとつ分の箱があるんですか?!」
「ひとつ分の箱も、袋も」と店員さんは笑顔で返答。
感激した。
店員さんが当然にように一切れ専用の箱にケーキを詰めてくれていることに。
ケーキをひとりで愉しむことを肯定してくれているようで、嬉しかった。もはやケーキ以上に、そのサービスに感動だ。
他店でケーキを一切れ買う場合、ケーキがズレないよう店員さんが箱を細工してくれる。この手間をかけることに私はどうしても申し訳なさを感じていた。資源を無駄遣いしている感じも否めない。でも千疋屋は〝その申し訳なさは一切ご無用です〟と言ってくれているよう。
無自覚ながら38歳まで抱いていた「ケーキを一切れだけ持ち帰る願望への後ろめたさ」を一気に解消してくれる瞬間だった。罪悪感の塊に感じる「一切れ分のケーキ」が入った箱と袋を持つ帰り道、自然と足元が弾んだ。
ひとり分のケーキの箱が入る千疋屋の袋。
ケーキ2個は入らないサイズ感。紛れもなくケーキひとつ分の箱だ。保冷剤のスペースは確保されている抜かりなさ。箱の中、コンパクトに収まる尊い佇まい。
ケーキのお供として、世界チャンピオンのバリスタが勧める方法で、ブラジル産スペシャリティコーヒー豆をハンドドリップしておいた。
脱透明フィルム。
一番映えるアングル。
背後の姿。
横顔。
挑戦的な視線。
真上からの眺め。
コーナーからいただく。
一口目。上段のスポンジには厚みがあり、苺は大きめにカットされて、みずみずしさを感じる。
二口目。生クリームの層がもう少し厚い方が、スポンジと苺とのバランスがとれ、口の中で一体感が強まると感じた。
三口目。やはりスポンジの主張が先にきてから、後から苺の甘酸っぱさを感じる。生クリームは控えめ。
苺を持つとくっついてくる上半分の層をいただく。
最後の一口。
ごちそうさまでした。
いろんな苺ショートケーキを食べて比較することで、それぞれの特徴が見えてきて、とても楽しい。
来月も楽しみだ。