『きんしんかん:性加害のニワトリとたまご』

ある本がきっかけで、逃げるように東京に移住した日系アメリカ人の斎氣心。初めて心を開ける人に出逢うも、彼にDVをしてしまう。確執が長年ある母親のような自分に絶望した。原因は、母の「躾(暴力)」と女性ホルモンだと考え、低容量ピルYAZを服用したが、副作用で臨死した。古今東西の代替医療による精神治療を試行錯誤する中、幼児期に父親から受け始めた猥褻を自覚する。それでも問題が雪だるま化するため、両親に虐待の事実を問いただした。しかし己の被害を自他に明示できた瞬間、自分もきょうだいに性的加害をしていた記憶が蘇り...

【10】ドーナツの 雨水に溶けた 謎の味 

ドーナツ。

 

他人からもらえば喜んでいただき、美味しいと感じるのに、自分では滅多に買うことはない食べ物。

 

先月、ハウスメイトのNAさんがドーナツをお裾分けしてくれた時も美味しくいただいた。

先日、ハウスメイトのKKさんが食べていたドーナツが気になった。

昨日、ハウスメイトのNSさんのドーナツをトースターで温めたものを一口もらったら美味しくて、今朝から脳内がドーナツに占領されている。

なのに「よし、私もドーナツを買いに行こう」とはなかなかならない。不思議だ。

 

ドーナツと言えば、ニューヨークではもっぱらダ○ンキンドーナツ一択だった。食べるのが辛いほど甘いから買わないけど、もらったら食べていた。だいぶ後からク○リスピークリームが流行。やはり甘過ぎて買おうとは思わないけど、もらったらつまむと思う。日本にきてからミ○スドを知った。満足感が薄いお菓子という印象は拭いきれず、自分では買わないけど、もらったら美味しくいただく。

 

朝からこんなにドーナツが気になっているなら、久しぶりに買ってみるのも手だなと思って、食べたことのないドーナツ屋を探した。

 

今回行ったのはフィンランドのドーナツ屋さんA○rnoldsア○ーノルズ。プレミアムキャラメルというフレーバーをチョイス。f:id:twilighthues:20220301144627j:image¥260くらい。洗練された雰囲気が素敵。

 

その後、自然食品店で販売されている平飼い卵と米粉のドーナツが目に入った。そっちの方が自分の好みに合うと思ったが、一個で十分なので、買わずに家に帰った。

 

ブラジル産のスペシャリティコーヒーを淹れ、いざドーナツにナイフを入れる。キャラメルのアイシングがパリッと割れ、その下にはしっかりめのオリジナルドーナツ生地。f:id:twilighthues:20220301144651j:imageおいしいけど、やっぱり〝所詮ドーナツ〟という感じだった。

 

ドーナツには、「人からもらう方が美味しく感じやすい」という法則があるようだ。

 

ドーナツの2、3倍の値段でショートケーキが買えるが、満足度は後者の方は100倍ある。だからドーナツはお金を払ってまで食べたいとは思わない類のおやつということなんだと思う。たくさんあるもっとおいしい食べ物に時間とお金をかけた方が満足度が高いということを舌が学習してきたんだろう。

 

世の中には「これは絶品」という私がまだ知らないドーナツがあるのかもしれない。そういうドーナツに巡り合ったら、ぜひ食べてみたいとは思う。けど、自分から積極的に探し求めはしないだろう。

 

ドーナツは私にとって、「頂戴して食べるのが丁度いい」。そんな距離感と温度感のお菓子だ。

 

ドーナツには少々失礼な結論になって申し訳ない気持ちもある。

 

しかしそれもこれも、食いしん坊が自腹を切ってまで食べたいと思えるドーナツが世に増えれば問題ないんだと思う。

 

そんなものがあればプレゼントしていただき(高笑い)、ドーナツの概念を覆されるほど感動できたら自分でも買おうと思うかもしれない。

 

翌日の朝、NSさんが食べきれないというドーナツをいただいた。値段はそんなにしないはずだけど、昨日買ったちょっとお高いドーナツよりも美味しく感じた。

 

やはりドーナツの価値は値段ではあまり変わらないけど、いただきものであることで上がるようだ。

 

この話をハウスメイト2人にしたら、ふたりともすごく共感していたのが、面白しろかった。

 

ドーナツは買うものではなく、いただくもの。