『きんしんかん:性加害のニワトリとたまご』

ある本がきっかけで、逃げるように東京に移住した日系アメリカ人の斎氣心。初めて心を開ける人に出逢うも、彼にDVをしてしまう。確執が長年ある母親のような自分に絶望した。原因は、母の「躾(暴力)」と女性ホルモンだと考え、低容量ピルYAZを服用したが、副作用で臨死した。古今東西の代替医療による精神治療を試行錯誤する中、幼児期に父親から受け始めた猥褻を自覚する。それでも問題が雪だるま化するため、両親に虐待の事実を問いただした。しかし己の被害を自他に明示できた瞬間、自分もきょうだいに性的加害をしていた記憶が蘇り...

【19】8歳の息子に強制性交等を犯した母親の想い

性犯罪者はどのようにして生まれるのか。生まれながら犯罪者である人などいないとすれば、何が人をそうさせるのか。

 

この答えを探り始めるとすぐに浮上するのは、犯罪者が加害者になるずっと前に被害者になっていたパターンが著しいということ。

 

性犯罪者、性被害者などをインタービューすることで、社会の闇を暴く動画シリーズSoft White Underbelly(ソフト・ワイト・アンダーベリー)でもこの傾向の強さが伺える。監督はロサンゼルス在住の写真家Mark Laita(マーク・ライタ氏、以下ML)で、アンダーベリーは直訳すると下腹部になるが、ここでは「社会の弱点」や「社会の闇」という意味がある。

 

I wish that someone would have told me that when I was young that I didn't have to have sex with people just to make them happy or to make them love me. And that that wasn't what true love was, and that my dad was sick for what he did and that I was sick for what I did.

誰かを喜ばせるためや、自分を愛してもらうためにセックスをしなくてもよいということを、幼い頃から誰かに教えてもらいたかった。それは本当の愛ではないということも。そして、私を性的に虐待した父親が病気で、私がしたことも病的だったということも。

 

こう話すのは、息子が8歳の時に性行為をしたとして有罪判決を受けた米フロリダ州出身の女性Tracy(トレイシー、以下T)。

 

ML: どんな幼少期でしたか?両親に育てられましたか?

 

T: そうとは言えません。合計で3、4年は一緒に暮らしていましたが、幼少期のほとんどは児童養護施設や里親のもとでで育ちました。

 

ML: どのような幼少期でしたか?

 

T: 孤独。里親は必ずしも良い人たちばかりではないんです。お金のためにやっている人もいて、子どものことは二の次なことが多い。虐待をしてきた里親も何人かいました。メイドのように掃除や家事をさせられたり、実の子供たちの面倒を見させられたりしました。母親は父親と暮らしていたので、あまり会えませんでした。私は長女で弟と妹とは仲良かったです。その後、私が5年生くらい時、祖父母が私たち3人を引き取りました。1、2年は一緒に生活しました。その間おばやおじとも暮らしたので、常にどこに行かされるかわからない状態でしたが、親族は私たちのことを理解してくれて愛情を与えてくれました。私たちがどういう経験をしてきたか、どういう里親に預けられていたか。父親や母親の元彼とのことも知っていたので。

 

でも祖父母が高齢になって私たちの面倒を見られなくなってから、児童養護施設に移されて3、4年暮らしました。その後、私が中学3年生の時に母親が迎えにきて、高校を卒業するまで一緒に暮らしました。卒業後、私は一人暮らしを始めました。

 

ML: 父親や母親の元彼と何があったんですか?

 

T: 父親から強制わいせつをされ始めたのは、私がおそらく4歳の頃だったと思います。というのは4歳下の妹がまだベビーベッドで寝ていたのを覚えているからです。

 

母親と父親は頻繁に喧嘩しては別れ、父親はしょっちゅうベビーシッターたちにちょっかいを出していました。そんな父親は私とある「ゲーム」をし始めました。母親は常に働いていたので、私に部屋の掃除をさせ、ベッドメイキングの時になると「お父さんの可愛い娘」「愛している」などと言ってきました。初めのうちは口内性交をさせられました。その後、強姦されて、叫んだら黙れと言われ、殴られました。「お前が黙っていうことを聞けば、弟や妹に手を出さずに済む」と言っていましたが、同時期に弟や妹にも強制わいせつをしていたことを後に知りました。

 

父親としばらく別れた母親の彼氏からも私は強制わいせつをされ、弟は殴られていました。弟にドレスを着せて、ドアのフックに吊るしました。弟は床に落ちて足を骨折しました。

 

母親はその後、父親の元に戻り、私は再び父から強制わいせつを受けました。

 

つづく......

 

息子は13歳になると児童に強制わいせつをしたという。息子は現在、結婚し、トレイシーのことを「許したが、起きたことを忘れることは難しい」という。一方でトレイシー自身は、自分を許すことができないと話す。

 

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www.softwhiteunderbelly.com