【26】自己防衛反応「4F」:ファイト・フライト・フリーズ・フォーン
人は恐怖体験や過度なストレスに直面すると生存本能として少なくとも4つの反応(The 4Fs)*1をすることがわかっています:
・Fight (ファイト:闘う)
・Flight(フライト:逃げる)
・Freeze(フリーズ:凍りつく)
・Fawn(フォーン:主体性を失う等)
私が4歳の時に近親姦被害を初めて受けた時も、これらの反応が自動的に作用しました。※以下、フラッシュバック注意
私は両親の寝室のベッドで、父と母の間で眠っていました。
真夜中に不快感を覚えて目が覚めたら、私のパンツの中で私の陰阜を撫でている手が父親の方から伸びていて、私は一瞬、硬直しました(フリーズ)。
お父さんは寝ぼけているのだろうか? と疑った私は、それなら手を振り払おうと、寝返りを打つように母の方を向きました(ファイト)。
すると父の手は私のパンツの後ろを握りました。恐怖。混乱。恐怖(フリーズ)。
その場に居ても立ってもいられなくなり、なるべく素早く、なるべく静かにベッドから抜け出し(フライト)、トイレに駆け込み、水だけを流しました(フォーン)。
直後の記憶はありません。
ここまでなら、単なる「悪夢」として処理できたかもしれません。しかし翌朝の奇妙な記憶もセットで覚えているのです。
私は母親から「お父さんにメゴメゴしてもらったんだって?よかったねぇ」と言われながら、ギュッと抱き寄せられました。
???
お母さんが......喜んでる?
言葉にならないほど混乱し、何も言えませんでした。(フリーズ)
「お母さんの機嫌がいいってことは、アレは『よかった』?のか?」と思いました。(フォーン)
直後の記憶はありません。
4Fの内、ファイト(闘う)、フライト(逃げる)、フリーズ(凍りつく)は比較的、分かりやすい自己防衛反応だと思います。
一方、フォーン(主体性を失う・避ける)は少し、分かりにくいと思います。
①自分の部屋に直行せず、わざわざ「トイレの水を流した」。
②「お母さんの機嫌がいいってことは、アレは『よかった』?のか?」と思った。
①は、私が「あくまで用を足すために起きたという疑惑」を自作自演することで、「現実を疑う余地を残したかった」のだと思います。
わずか4歳の幼児がものの数秒のうちにここまで考えられたのか?と長年、自分でも疑わざるを得ませんでした。でも考えてやったのではなく、無意識のうちにやっていた行動でした。自分で自分に「私はあくまでトイレに行くために起きたんだ」と思えるような行動を自ら作らないと耐えられない心理状況だったのでした。
②は、父親と母親が喜んでいるということに対して混乱するも、自分の正直な気持ち(不快感・恐怖・混乱)を母に伝えたら、「父親が自分に対して嫌なことをした」という自分でも認めたくない現実を認めることになり、自分の気持ちではなく「お母さんが喜んでいる」ことを優先したのでした。これも計算したわけでなく、無意識に絶句したのでした。
4歳の子どもが無意識ながらここまで高度な自己防衛反応による行動が取れるのなら、親として「性教育」をもっと早い段階で教えていたら、子どもは良し悪しの分別や助けを求める術を理解できていたはすです。
言葉を理解し始める2、3歳のうちに、「おちんちん」「おまた」は自分だけの大事なところだから、誰かが見たり触ってきたりしたら、お母さんや誰かに教えてね。誰かが信じるまで言い続けてね、あなたは絶対に悪くないからとだけ伝えてあげていれば、万が一被害にあっても、どれほど救われたか計り知れません。
フォーン(主体性を失う等)の例:
1 八方美人(他人の言いなりになる)
2 解離(体の外から自分を見ているような感覚になる)
3 受動性が強化される(他人に決断を任せる)
4 対立が生まれるような状況を避ける
5 NOが言えなくなる(YESマンになる)
6 過剰に愛想をよくする
7 他人の感情や欲求に敏感になり、自分の感情や欲求に鈍感になる。
8 本音が言えなくなる
などなど
ファイト(闘う)、フライト(逃げる)、フリーズ(凍りつく) が効かない場合、フォーン(主体性を失う)が作動すると言われています。
4F反応は、「戦うか逃げるか反応(fight-or-flight response)」*2がベースになっています。これは1929年にウォルター・キャノン(Walter Cannon)が提唱しました。