16) 日本兵の証言『南京・引き裂かれた記憶』ドキュメンタリー
日本兵の証言を記録した2009年のドキュメンタリー映画『南京・引き裂かれた記憶 *1』を観るために、監督・武田倫和氏が設立した制作会社ノマド・アイに連絡し、返事を待っている。
映画は、松岡環氏*2の著書『南京 引き裂かれた記憶・元兵士と被害者の証言』
に基づいている。
松岡環氏の活動
ドキュメンタリー『南京・引き裂かれた記憶』(予告編)
監督・武田倫和氏のインタビュー
武田倫和監督は、「この映画を製作するきっかけとなったのは、松岡環さんがとの出会いと、彼女が取材した『南京大虐殺』の被害者と加害者の証言を集めた膨大な量のビデオ映像との出会いだった」と語っています。それらの映像を見て、武田監督は、彼が幼いころになくなったおじいさまのことを思い出されました。普段は大変やさしいおじいさまだったそうですが、お酒を飲むと人格が変わったようになり暴れ出したそうです。「自分が殺した中国人が襲ってくる」と言っていたそうです。おじいさまのこの行動と、松岡さんの撮影した映像の中で語っている被害者たちの言葉が結びつき、おじいさまが生涯苦しんだその事実に関心を持つようになりました。
松岡さんは、20数年前から元兵士や被害にあった体験者からの聞き取り活動だけでなく、年に数回中国に渡って、生存者の方々の心のケアをしているそうです。しかし、1937年当時10歳くらいだった人でも、今は80代になっており、証言者が少なくなってきています。「証言者たちがいなくなってしまう。早く映像を残しておかなければ……」松岡さんと武田監督は焦るような気持ちで撮影を進めてきました。しかし、歴史認識を変えようとする人々の攻撃を何度も受けました。事件の解説や研究家の主張ではなく、“直接体験した人に語ってもらう”、つまり“彼らの記憶”をたどることが映画の中心です。
南京大虐殺に関して反論する日本人は、加害者「30万人」という数字が多過ぎるから信用に当たらないという議論を展開しがちだ。そういう時に思い出す必要があるのは「one is too many(一人でも多過ぎる)
」という言葉。
「南京大虐殺60カ年大阪実行委」