『きんしんかん:性加害のニワトリとたまご』

ある本がきっかけで、逃げるように東京に移住した日系アメリカ人の斎氣心。初めて心を開ける人に出逢うも、彼にDVをしてしまう。確執が長年ある母親のような自分に絶望した。原因は、母の「躾(暴力)」と女性ホルモンだと考え、低容量ピルYAZを服用したが、副作用で臨死した。古今東西の代替医療による精神治療を試行錯誤する中、幼児期に父親から受け始めた猥褻を自覚する。それでも問題が雪だるま化するため、両親に虐待の事実を問いただした。しかし己の被害を自他に明示できた瞬間、自分もきょうだいに性的加害をしていた記憶が蘇り...

【18】オプラとドクター・テレライ・トレン

f:id:twilighthues:20220312231756j:image朝粥を食べながら、アファメーション動画を聞こうと思って、Youtubeで「affirmation Oprah」と入力。Oprahとは黒人女性でアメリカのテレビ番組司会者として有名なオフラ・ウィンフリーのこと。

 

動画の中(49:55〜)でオプラが最も心に残っているゲスト、ジンバブウェイ出身の女性「Dr. Tererai Trent(ドクター・テレライ・トレン※)」の話に惹きつけられた。

男尊女卑は世界中に蔓延しているが、アフリカ・ジンバブウェイも例外ではなく、女性に生まれたテレライさんは教育を受けさせてもらえなかった。

テレライさんの兄は通学していた。宿題は完璧なのに、学校では問題を解けないことを不思議に思った教師が、家庭訪問すると、妹が宿題をやっていたことが判明。

教師は父親にテレライさんを通学せるように勧めるが、父親は拒否。

そして11歳のテレライさんを持参金(牛一頭)目的で嫁に出した。

テレライさんは夫から暴力を振るわれながら、18歳までに三人の子供を育てていた。

NGO団体「へイファーインターナショナル(Heifer International)」が村に訪れ、テレライさんに「夢はなんですか?」と聞いた。

テレライさんは「アメリカの大学で、学士号、修士号、博士号を取得する」と紙に書き、缶の中に入れて、石の下に埋めた。

NGOのお陰で、1998年にテレライさんは家族(5人に増えた子供と暴力を振るう夫も連れて)とアメリカに移住し、三年で四年制大学を卒業。

ジンバブウェイに帰省すると果たした夢にチェックを入れ、石の下に埋めた。

2003年には修士号を取得。同年、夫は虐待のため強制送還させられ、テレライさんは再婚した。

帰省し、達成した夢にチェックを入れ、2009年には遂に博士号を取得。

この実話をニューヨークタイムズ記者ニコラス・クリストフ(Nicholas Kristof)氏の著書「Half the Sky(ハーフ・ザ・スカイ――彼女たちが世界の希望に変わるまで)」で知ったオプラは、テレライさんを探し出し、ジンバブウェイに学校を建てるため、150万ドルをテレライさんに寄付した。

 

テレライ・トレンが最も好きなゲストである理由をオプラは次にように話す。

「それは、彼女の人生そのものが、私が25年間、番組を通じて全ての視聴者に届けようとしていたメッセージを象徴するから。ジンバブウェイの小さな村で育った少女が、夢を実現するために持ち続けた勇気や信念や努力。貴方にもできる……できる……挑戦し続けて……諦めないで。」

以下原文:

"The reason why Tererai Trent is my favorite guest of all time is because she represents in that one story of a little girl in a village in Zimbabwe, who had a dream, and the heart, and depth, and discipline to pursue it. She represents everything I've tried to say in every show in 25 years. She literally, through her life story, sums up the message that I was trying to give to every single one of my viewers. You can...you can...keep trying...don't give up."

--Oprah

アメリカで幼児期に実父からは性的虐待を受け、母親からは体罰を受け続け、感情や感覚を麻痺させていた私。テレビでオプラの番組が身近にあったにも関わらず、「所詮、茶番でしょ?こんなにドラマチックな人生があるわけない」と思って、真に受けていなかった。

当時の私がどれほど絶望の中で生きていたかということを表している、ということは今ならわかるけど。当時はそれさえも気づいていなかった。

大人になって少しづつ、本来の自分を取り戻すうちに、オプラの話が心に響くようになっていって、今は私のロールモデル、手本となる人物の一人だ。

 

オプラも幼少から祖母から鞭で打たれるなどの虐待を受け、9歳から12歳の間に従兄から何度も強姦され、黒人だからといって人種差別を受けてきたという過去がある。そんな彼女が今は、人に希望を与えることを天職としている。

 

オプラの言葉や、彼女が取り上げる人々の人生を通じて、どんなに過酷な人生でも、勇気と努力と信念を持ち続けることで、幸せになる希望があるということを、毎回思い出させてもらえる。

 

希望をありがとう。

 

補足

※テレライさんの苗字「Trent」を日本語表記する時「トレント」と書くのが一般的だと思うが、私は「トレン」と書いた。

音を「トレント」という風に覚えてしまうと、いざ英語を話すときに発音が「日本語英語風」になってしまって、英語圏の人に伝わりずらい。そのような日本人を何人も見てきた。

だから私はあえて実験的に「トレン」と表記する。

法則として、Tが最後に来る場合「t」を少々控えめに発音するか、全くしない方が自然に聞こえる。

例えば:apartmentも同じように「t」は「ト」とは発音しないのがネイティヴに聞こえるコツである。

英語ので発音しない「t」のことを「サイレント・ティー」という。サイレントは沈黙という意味。