「やめて」・にげて・はなして。身内から子どもへの性犯罪:被害者から加害者になった私・犯免狂子が精神治療から学んだこと

4歳から父の猥褻・母の体罰が「愛情表現」と教わり、混乱の吐口としてきょうだいに性的・精神的な加害をしていことを治療中に自覚。3つの気づき:①家庭内で子どもへの性犯罪が、加害者の「無自覚」のうちに起きている。②性被害を否定することは、自己防衛本能が正常に作用しているからだが、否定し続けても苦しみは増す一方である。③被害を認めて精神治療を初めないと、被害者も「無自覚」のうちに自他を傷つけ加害者になってしまう可能性が高い。精神疾患「複雑性心的外傷後ストレス障害(C-PTSD)」歴35年以上。

【1】ゴーラー一族の近親姦ドキュメンタリー

近親姦(incest)を何世代も続けていた「ゴーラーー族」についてのドキュメンタリー動画「The Golers: The Untold Story」が、今も続く社会問題を浮き彫りにしている。

Inquiry

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ゴーラーー族(The Goler Clan)は、カナダ東部ノヴァ・スコシア(Nova Scotia)の山地で、社会福祉を受けながら貧困の暮らしをしていた。1984年、一族の少女(14歳)が、父親が男の子を生ませようとしてくるから帰りたくないと学校職人に話したことで事件を明るみにすることができた。子供達12人は、父、母、おじ、おば、姉妹、兄弟、いとこ、そしてお互いによる性的虐待の被害者だった。

 

大人たちは皆こどもの頃、同じように身内から性的被害を受けていた。一族の家系を研究したアカディア大学の社会学者は「一族の近親姦は1860~70年代頃から始まった」とみている。

 

大人の男女15人が逮捕され百数十件の嫌疑で告発されたが、彼らには自分たちが罪を犯したという認識がなかった。

 

IQテストを行ったところ、全員が知的障害者であることが確定した。罪を犯したことを理解できなかった、と彼らの弁護士はいう。

 

しかし子供達の弁護士によると「大人たちにも善悪の分別があった」という。強制性交等を行っている間、他の子供を見張りに使うことがあったり、静かにしないと暴行を加えたり、秘密を守れば褒美を与えてたりしていそうだ。

 

近隣の住民からは「彼らを牢獄に閉じ込めるより、精神的な援助を受けさせた方が良い」という意見も少なくなかった。

 

しかし大人たちに「問題があった」という認識がないため、精神医学治療は効かないと判断した検察側は、より長い懲役刑を求めていた。

 

大人たちは結局、保護された子供達12人(6~16歳)に近づかないことを法廷から命じられ、$500で釈放された。

 

キリスト教を始めた一部の大人の中に、自分の子供には決して通わせなかったが、すっかり信者になっている者もいて「決して見せかけではない」と主張した。

 

一族の中にいる首から下が麻痺している男性に聖書を読み聞かせるために家に通っている牧師は「彼らの行動に大きな変化を感じられる」と話した。

 

が、裁判官たちからすると、何も変わっていなかった。

 

その後、大人の男女15人はそれぞれ再犯して懲役刑を受けた。

ウィリー・ゴーラーは校門性交、猥褻行為、近親姦の有罪で懲役7年。

ウィリーの内縁の妻ワンダ・ウィステンは子供8人に性的暴行を加え懲役4年。

クランズウィック・ゴーラーは12歳の従兄弟に校門性交を加え懲役6年9ヶ月。

クランズウィックの妹ジョシー性的暴行で懲役6ヶ月。

ジョシーの元交際相手アール・ジョンストーン、少年に口腔性交を加え6ヶ月。

ジョシーの妹メアリー、性的暴行をし懲役1年。

メアリーの夫ロレンス・ジョンストーン、姪に校門性交をし懲役2年半。

ウィリーの兄弟トム・ゴーラー、甥と姪に校門性交をし懲役3年。

トムの元義理の兄弟ロイ・ヒルスは7歳の少女に校門性交をし懲役1年。

ウィリーの元義理の兄弟ユージーン・ブラウンは甥や姪に性的虐待をし懲役2年半。

ウィリーの元義理の兄弟ラルフ・ケリーは7歳少女に校門性交をし懲役3年。

ラルフの兄弟ローレンス・ケリー12歳の少女に強制性交をし懲役1年。

セントクレア・ジョルドりーも12歳の少女に強制性交をし懲役1年。

チャーリー・ゴーラー・ジュニア、14歳以下の従姉妹に強制性交をし懲役2年。

幼児期に性的虐待を受けた認識のあるビリー・ゴーラー性的虐待をし懲役3年。

 

子供達12人に関しては、長年の性的虐待によるトラウマから回復はしないだろうとみる裁判官もいたが、「すぐに最高な精神治療を受け、素晴らしく回復している」という報告もあるそうだ。子供5人は里子に引き受けられ、5人は児童養護施設で保護されている。レポーターによると「最年長の二人は十代で、児童養護施設で多くの問題を起こしているため、刑務所に再び戻ってくる可能性もある」とのこと。

 

レポーターは続けた「いずれにせよ、ほとんどの場合、子供達はより良い生活をしているように見える。貧困生活から比較的裕福な中流階級の家庭で育てられている。彼らにも将来がある」。

 

大人のうち8人はキングストン刑務所に服役している。彼らは精神治療をほとんど受けていない。「模範囚」と言われることもあるそうだが、いまだに罪を認めないため、仮釈放になることはないという。他の5人は地元に戻り、政府が用意した家で暮らしている。

 

子供の一人Donner Golerは、より厳しい児童虐待防止法や刑法の改正に関する活動をしている。

 

この事件については洋書が出版されている:

On South Mountain: The Dark Secrets of the Goler Clan 

amzn.to

 

著者はDavid Cruise & Alison Griffiths (2017)

 

 

 

関連動画:

www.imdb.com